週末花探し

東京都を中心に花を見に出かけた記録。土曜日か日曜日の夜に週一更新。たまに読書感想文。

GWの東京都薬用植物園に行ってきました その1(不正なケシ)

5月6日に東京都小平市にある東京都薬用植物園に行ってきました。

東京都健康安全研究センター » 東京都薬用植物園

同園では多くの薬用植物が栽培されています。

入園料はなんと無料、開園時間は4月から9月は9時から16時30分、10月から3月は9時から16時まで。

休園日は毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、ただ4月の第3・4月曜日と5月の月曜日は臨時開園しています。

アクセスは東大和市駅から徒歩2分。JR立川駅からだとバスに乗れば園の目の前までこれます。

 

同園ではあへん法により栽培等が禁止されているケシなども栽培していて、一般にも公開している国内でも珍しい施設です。

国内で他に一般に公開してるのは高知県の牧野植物園だけらしいです。

5月5日と6日には、そんなケシについて学べるケシのミニ講座を開催していたので行ってきました。

2016年にもミニ講座を受けたんですが、ブログも始めたので改めて聞いてきました。

ケシのミニ講座 | 公益社団法人東京生薬協会

たくさん写真を撮ったので、本記事ではケシの写真を。その2の記事ではそれ以外の植物を紹介します。

nakanohitsuji.hatenablog.com

正門をくぐってすぐのところ。正面には温室が見えます。温室の中は別記事にて紹介します。

栽培が禁止されているケシが育てられているケシ・アサ試験区

二重の柵が設けられていますが、開花期の現在は外側の柵が解放されていて、観察しやすくなっています。外側の柵にはケシに関する解説のポスターが貼られていたので、ミニ講座に参加出来なくてもかなり色々学べます。

柵の中で栽培されるケシ。

 

ミニ講座では法律で栽培が禁止される3種のケシが紹介されました。

1種目がソムニフェルム種(ケシ)。アヘンが採れるためにあへん法で栽培が禁止されています。

写真の白い花は日本で作り出された「一貫種」という品種です。

手前の赤いのはトルコ種。

こちらは園芸種。あへん法のある日本では栽培禁止ですが、海外ではその限りでないので、園芸品種もあります。

なので日本では栽培禁止なのに気付かず輸入されてしまうことが稀にあるそうです。

こちらも園芸種。

2種目はセティゲルム種(アツミゲシ)。ソムニフェルム種より全体的に小さめ。渥美半島帰化し大繁殖しているのが見つかったことからアツミゲシと呼ばれます。こちらもあへん法により栽培が禁止されてます。

セティゲルム種は繁殖力が強く各地で雑草化しているので、見たことのある人も多いのではないでしょうか。

白い袋は、交雑を防ぎ種を採るためにかけられているものです。

花が散ったあと、膨らんだ未熟な果実(子房)をけし坊主といい、傷つける出てくる白い乳液からアヘンが採れます。

本当はソムニフェルム種で見せたかったようですが、まだけし坊主が出来ていなかったので、一回り小さいセティゲルム種で実演。

 

日本でケシの研究栽培をしてアヘンの採取をしているのは、ここを含めて5ヵ所しかないそうです。

ソムニフェルム種とセティゲルム種の特徴は、

  1. 茎や葉に毛が少ない(ツルツル)。
  2. 葉が茎を抱くようについてる。
  3. 葉のギザギザ(切れ込み)が浅い。

そうです。

けし坊主の中には細かい種がギッシリ。

そして法律で栽培が禁止されてる3種目がラクテアツム種(ハカマオニゲシ)

ラクテアツム種は全草にテバインを保有していることから、麻薬及び向精神薬取締法で栽培が禁止されいます。

落ちてた花びらで特徴を説明。花びらの付け根に特徴的な模様があります。

ケシたちの隣で栽培されていたアサ。大麻取締法で栽培が禁止されています。

 

ケシ・アサ試験区での解説の後には、比較用に栽培試験区で栽培されている、栽培が禁止されていないケシの解説もありました。

アイスランドポピー。他のケシが茎から葉が出ているものが多いのに対して、地際から葉が出ています。

ヒナゲシ

モンツキヒナゲシ

トゲミゲシ。

ナガミヒナゲシ。各地で雑草化していますね。

ハナビシソウ

ハカマオニゲシによく似たオニゲシ(オリエンタルポピー)というケシも栽培されていますが、まだ開花していなかったので、2016年に撮った写真を載せときます。

園芸用に品種改良もされていて花色も豊富です。

そして温室ではヒマラヤの青いケシとも呼ばれる珍しいメコノプシス・ベトニキフォリアも栽培されています。

今回は咲いていなくて展示もなかったので、2016年の写真を載せときます。

開花期は初夏だそうで、運が良ければガラス越しに見ることが出来ますよ。

 

同園はこの2年近く、新型コロナウイルス感染拡大防止のために休園と開園を繰り返していて、不正なケシの花の公開も多分3年振りです。

50人の定員も、講座開始30分前から始まった受付開始時には、すでに40人近くは並んでいたのでかなり盛況ですね。

1時間立ちっぱなしで太陽の下で話を聞くという、結構体力を使うものでしたが、最後の質問タイムにも参加者からたくさん質問が挙がっていて、勉強熱心な人が多いようでした。

 

柵前の解説ポスターやミニ講座で話した内容は、その多くは公式HPにも載ってますので興味のある方どうぞ。

東京都健康安全研究センター » 不正なケシの見分け方

都内で見つかった不正なケシはここで処分してるそうですが、講座中にも解説してくださってる方に警察から電話で、ケシが見つかったので持っていく連絡がきていました。

 

続きのその2の記事では、ケシ以外の植物を紹介してます。

GWの東京都薬用植物園に行ってきました その2 - 週末花探し

フォトライフでも写真をまとめています。

09東京薬用植物園 - 写真ログ