『ウィル・グレイソン、ウィル・グレイソン』ジョン・グリーン/デイヴィッド・レヴィサン 感想
ウィル・グレイソン、ウィル・グレイソン
著者:ジョン・グリーン/デイヴィッド・レヴィサン
本の内容
ウィル・グレイソンは平穏無事な生活を送りたい高校生の男の子.だが親友のタイニー・クーパーに振り回されてばかりでそうもいかない.もう一人のウィル・グレイソンは孤独に打ちひしがれたゲイの少年.自殺するか,他人を殺すかという精神状態に追い込まれている.シカゴの街角で,同姓同名の二人の人生が奇跡的に交錯して…….
私、重たい話やしんどい話とかが割と好きなんですけど、心の方がちょっと重たい話は受け止めきれないよと申し立ててきてたので、フライドポテトを食べるような感じで軽く読めるような本を読みたいなと思って、アメリカのヤングアダルト小説に手を伸ばしてみました。
単行本でほぼ400ページもあるけど。
以下感想、大きなネタバレはないです。
主人公は2人、同姓同名で2人とも高校2年生のウィル・グレイソンとウィル・グレイソン。2人の著者がそれぞれのウィルを視点で、交互に物語を描いていきます。
ページ数はそれなりにあるけど、そんな難しい表現も出てこないし、とても読みやすいです。ただ私はアメリカの文化や風俗に詳しくないので、ピンとこないシーンも多々ありますが。
でもウィルの母親が『高慢と偏見』のドラマを見てるくだりとかは、こないだ読んだ本なので少し場景の輪郭がハッキリと感じました。
予備知識がどれだけあるかによって、見えてくる場景の解像度が変わりますよね。
また登場人物がアメリカのドラマのようにウィットに富んだ会話をするので、クスっと笑っちゃう場面も多いです。国際ウィル・グレイソン学会ってなんだよ(笑)。
アメリカの人って本当にいつもこんなジョーク混じりの会話をしてるのかしら。
また一方のウィルはゲイで、もう1人のウィルの親友タイニーもゲイ。そういうゲイの若者を描いた小説でもあるんですが、
現在のティーンエイジャー(特にゲイ)の子達が、こういう本を手にすることが出来るっていうのは、いい時代ですね。
ストレートの若者を題材にした小説は、昔から数える必要のないくらい多くありますから、こういうマイノリティの若者に焦点を当てた作品も、もっと増えていってほしいです。
いろんなことが上手くいかない、本作は若者の日常とちょっとした成長を描いた良作だと思います。
もう大人になってしまった私は、ちょっと上から目線で楽しく読ませてもらいました。
あと思春期の男の子の話ということもあって、下ネタもちょいちょい出てきますが、それも含めて面白いです。
デイヴィッド・レヴィサン作品の感想はこちら。