『高慢と偏見(上)』ジェーン・オースティン 感想
高慢と偏見(上)
著者:ジェーン・オースティン
翻訳:富田彬
- 作者: ジェーンオースティン,Jane Austen,富田彬
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1994/07/01
- メディア: 文庫
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本の内容
所はハーフォードシア.ベネット家には五人の娘がいる.その近所に,独身の資産家ビングリーが引越してきた.彼は美しくすなおな長女ジェーンに惹かれ,その友人ダーシーは聡明で溌刺とした次女エリザベスを好ましく思うが…….のどかな「田舎の村の家庭生活の絵」の中に,オースティン一流の精緻な人間観察とユーモアが光る.
「高慢」って言葉の響きや意味がステキですよね。そんな理由で前々から興味のあった作品なのですが、約200年も昔の作品であること、上下巻に分かれてて話が長そうなこと、あまりにも多くの翻訳があって、どの翻訳を手に取ればいいか悩ましいといった理由で、今までなかなか手に取るには至りませんでした。
今回は図書館に所蔵していたという理由で、比較的古い翻訳になる、岩波文庫の富田彬さんの翻訳を読むことにしました。
以下感想、ネタバレありです。
まず登場人物が多い。
主人公のエリザベスが5人姉妹の二女で、両親含めて7人家族。
そして物語が進むうちにどんどん登場人物が増えていく。
そんなたくさんの登場人物の中では、誤解が生まれたり、ある人とある人が実は繋がりがあることがわかったりと、入り組んだ人間模様が描かれます。
人物ごとに性格の違いなどはちゃんとあるのですが、ただやっぱり多いので、名前や関係性を覚えるのは大変。
特に女性の場合、名前がファーストネームで呼ばれたり、◯◯夫人だったり◯◯嬢だったり、愛称の場合もあり混乱しやすいです。
そして性別や世代が同じ人物がいる会話の時は、誰が喋ってるのか分からなくなることが度々。
ただこのたくさんの登場人物による複雑な人間関係が、先の読めない魅力的な物語に繋がっているのよね。
割と序盤で長女のジェーンが風邪をこじらせちゃった時なんか、このまま死ぬんじゃないかと少しハラハラしました。
こんだけキャラクターがいれば、1人くらい退場しても何とでもなりそうだもの。
またエリザベスが従兄弟のコリンズの求婚を何度もハッキリ断ってるのに、
僕の気を揉ませようとしてるだけだと解釈して、言葉通りに受け取らず、埒が明かない件は笑わしてもらいました。
こういったシーンも、エリザベスの自分の意見をハッキリ言う性格や、コリンズの自惚れの強さなど、それぞれの人物の性格の違いがしっかり描かれてます。
また恋愛を描いた小説ですし、色んな男性が出てくるんですが、序盤から出てくるのがビングリーとダーシーの2人。
家柄もよく、愛想も良くて誰からも好かれる好青年ビングリーと、ビングリーの親友で、こっちもいい家柄の人らしいけど、愛想も悪くて何かやな感じのするダーシー。
この対照的な組み合わせ、少女漫画とかでよく見る気がするぞ。王道というか古典なんですね。
上巻の終盤では、ダーシーによる衝撃的な告白によって、エリザベスの内心は大きくかき乱されて、これからどうなるのってとこれで終わり。
ダーシーの告白はもっと後の方に来ると思っていたのですが、物語の半ばでくるとは。
ここからどう話が展開していくのか、下巻の展開が気になりますねえ。
あと直接的な感想ではないんだけど、ウィカムに限らず、この作品は何かしら問題のある人物が多く出てきます。
むしろ問題のない人物の方が少ないというか、誰しも程度の差はあれ問題があるというか、完璧な人なんてそうはいないよねっていう、リアリティのある描かれ方をしています。
主人公のエリザベスは他人のそういうところをしっかり観察してる人物なので、人の至らない部分、欠点の描写を読んでると、何だか自分も人からそうやって評価されてるんじゃないかとちょっと不安になりました。
下巻まで読み終えてからまとめて感想を書こうかとも思いましたが、私は遅読で下巻を読み切るのにも時間がかかりそうなので、
上巻を読み終えた直後の瑞々しい気持ちの内に感想を書き留めておこうと、上下で分けて感想を書くことにしました。
下巻の感想はそのうちきっと。書きました。