『ジキル博士とハイド氏』ロバート・ルイス・スティーヴンスン 感想
著者:ロバート・ルイス・スティーヴンスン
訳者:夏来健次
内容紹介
深夜のロンドン。奇怪な男が十字路で少女を平然と踏みつけ、高名な医師ジキル博士の屋敷に入っていく。その男ハイドとは何者か? アタスン弁護士の疑念を裏付けるように、博士の身辺にはさらに異常な事件が……。『吸血鬼ドラキュラ』『フランケンシュタイン』と並び称される、ホラーの古典的名作。解説=北原尚彦
本作をご存知のかたは非常に多いというか、知らない人を探すほうが難しそうな作品。しかし実際に読んだことのある人は少ないのではないでしょうか。私も読んだことはなかったので手に取ってみました。
1886年に発表された作品なので翻訳も多くあり、今回は適当に東京創元社から出ている夏来健次さんの訳を選びました。
以下感想、ネタバレありです。というか皆さん知ってますよね?
ロンドンの街を騒がす謎の男ハイドの正体と、高名な医師ジキルは一体どんな関係なのか、ジキルの友人でもある弁護士アスタンが、2人の秘密を解き明かしていくのが本作のストーリーなんですが、皆さん知っての通りジキルとハイドは同一人物です。
実は読んでみたらジキルとハイドは別人だったみたいなことはないですし(フランケンシュタインは怪物の名前じゃなくて、怪物を作った人の名前みたいな)、ジキルとハイドの秘密が物語の肝ですし、
本作は文庫本で巻末の解説を含めても150ページちょいしかない短めの小説のなので、2人の秘密に関係のない描写もあまりありません。
物語最大の謎をすでに知ってしまってるので、アスタンはどのような経緯を経て真相にたどり着くか、友人の変容・破滅をいかに受け止めていくかという読み方になりました。
あまりにも真相が有名過ぎるので、いまさら読んでも特別な感想とかは湧いてこないんですけど、
本作が発表されてた当初には、どんな風に受け止められたのか、どのようにして広く世界に知られる作品になっていったのかが気になりますね。
この作品以前にも、怪物が善良な人間のふりをしてる話って、世界にたくさんあったと思うんですよ。それらと本作は何が違ったのか。
ただ序盤でハイドが登場する際、十字路でぶつかって倒れた8才から10才くらいの幼い女の子を、そのまま踏みつけて立ち去ろうとしていてインパクトがありました。
頭の中で想像しようとすればこの異様な振舞い場景が、具体的に浮かべられるんですよね。
想像を絶するんじゃなくて、想像が出来ちゃう異様さ。
本文にはあんまり見慣れない熟語も多数出てきますが、短い小説なので読書慣れしたかたなら簡単に読めると思います。
怪奇ミステリー小説として気軽に読むにはいいかも知れません。
今度はフランケンシュタインとかも読んでみましょうか。例に出しておきながら読んだことないので。