『図書館の殺人』青崎有吾 感想
図書館の殺人
著者:青崎有吾
内容紹介
期末試験中のどこか落ち着かない、ざわついた雰囲気の風ヶ丘高校。試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書館に向かった袴田柚乃は、殺人事件捜査のアドバイザーとして、警察と一緒にいる裏染天馬と出会う。男子大学生が閉館後の図書館内で殺害された事件らしいけど、試験中にこんなことをしていていいの? 閉館後に、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺された被害者は、なんとなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージを残していた……。“若き平成のエラリー・クイーン”が満を持して贈る第三長編。
“館”の舞台は図書館、そしてダイイングメッセージもの!
図書館で借りたお楽しみ袋に入ってた2冊目、また図書館ネタでした。ただ今度はミステリー。本作もネットであらすじなどは調べずに読んでみました。
以下感想。事件の謎解きに関するネタバレはほぼありません。
冒頭の登場人物の書き方からなんとなくそうかと思ったのですが、チラ見してしまった巻末の関連書籍でハッキリしたのが、これはシリーズものでした。
主人公の名前から裏染天馬シリーズと呼ばれてるようで、既刊が3巻あり本作は4作目のようです。
しかし過去作を読んでないからといって、話の内容が分からなかったりはしないです。
ただこのキャラ達は過去(既刊)に何かあったんだろうなと思わせる描写や、ちょいちょいエピローグっぽい描写もあるので、おそらく発表された順番に読んでいった方がより楽しめる本だと思います。
そして主人公が男子高校生で高校生の登場人物が多かったりする点や、キャラクターの造形などがすごくライトノベルっぽい。
主人公にやたら突っかかってくる元生徒会副会長や、ショタコンな女性刑事とかは特にアニメやマンガらしさを感じるキャラクターです。
文体もライトノベルのようで読みやすいので、単行本で約360ページありましたが割とスルスル読めます。本文の合間に可愛い挿絵などはないけど、文だけだったらラノベと変わらない印象。
そしてこの作品の主に舞台となる場所が、殺人事件のあった図書館と、主人公の通う高校の2ヵ所あるんですが、
高校では期末テストやそれに向けての勉強会などが描かれるものの、それらは殺人事件との関係があまりなくて、悪い意味で気になってしまいました。
高校生の登場人物の多くは、そもそも事件とはあまり関わらないし、この描写いるのかなと。
ただ高校生の多くは、おそらく既刊での登場人物なんですよね。なので既刊を読んでいるかどうかで、この辺の印象は変わるのかもしれません。
事件が解決した後の、あのキャラ達の日常……。既刊を読んでいない私にはどんな事件があったのか知らないし、個々のキャラクターへの思い入れもないので何とも。
肝心の謎解きは、私はそれほどミステリー小説は読まないのでハッキリ言えませんが、王道的なのではないでしょうか。必要な情報はちゃんと提示してくれていると思います。
最後まで読むと事件はしっかり解決しますが、まだまだ裏染天馬たちの物語は続くようです。今のところ本作がシリーズ最新作みたいなので、新作が待たれる状態ですね。
また私が借りたのは単行本ですが、のちに出版された文庫本では新たに解説もついてるようなので、これから読む方はそちらもいいかもしれません。
図書館のお楽しみ袋シリーズ。