『ラジオ・キラー』セバスチャン・フィツェック 感想
ラジオ・キラー
著者:セバスチャン・フィツェック
訳者:赤根洋子
- 作者: セバスチャン・フィツェック,赤根洋子
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あらすじ
その日が、彼女の人生最期の日となるはずだった。高名な犯罪心理学者でベルリン警察の交渉人イーラの心には、長女の自殺が耐え難くのしかかっていたのだ。しかし、ベルリンのラジオ局で起こった、人質立てこもり事件現場へと連れ出されてしまう。サイコな知能犯が、ラジオを使った人質殺人ゲームを始めようとしていたからだ。おまけに犯人の要求は、事故死した婚約者を連れてくるという不可解なものだった。リスナーが固唾を呑む中、犯人との交渉を始めたイーラは、知られたくない過去を、公共電波で明らかにせざるをえなくなる。そして事件は、思いも寄らぬ展開へと、なだれ込んでいくのだった……。
以前、同著者の前作でありデビュー作『治療島』を読み、とても面白かった記憶があるので、2作目の本著も手に取りました。
ネタバレは避けて感想。
・3つの事象が絡んでいくサスペンス
ラジオ局に人質をとって立てこもる犯人ヤンと、交渉人イーラの対決と交渉が主軸の作品。
そしてそれと同時に、ヤンには死んだことにされた恋人の存在、イーラには救えなかった娘の存在、それぞれ抱えてる問題があり、この3つの事象が次第に寄り合わさっていき、最後にはどんな帰結が待っているのか。
2人は対立関係だけど、ストーリーが進むにつれ、謎を暴く共犯者のようにも見えてきて、裏では誰がどんな意図で糸を引いているのか。
とってもスピード感のあるサスペンスで、最後までハラハラしながら読ませてもらった、素晴らしいエンターテイメントでした。
Amazonなんかには映画化が決まってるとあるけど、どうなったんでしょうね。読んでいて映像が浮かんでくるようなシーンも多く、映画はすごく観たくなる作品なのだけど。
・主人公が格好いい
あと最後の訳者解説にも書いてるけど、主人公の交渉人、イーラ・ザミーンが格好いいのよね。40歳は過ぎてそうな女性だけど、心身ボロボロになりながらも立ち向かっていく姿はとても魅力的。
格好いい女性の話が読みたい人にもおすすめ。
しかし作中、ステマの如く何度もコーラ・ライト・レモンを飲みたいと出てくるんだけど、日本では売ってないのかしら。
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