週末花探し

東京都を中心に花を見に出かけた記録。土曜日か日曜日の夜に週一更新。たまに読書感想文。

『前世療法』セバスチャン・フィツェック 感想

前世療法

著者:セバスチャン・フィツェック

訳者:赤根洋子

前世療法

前世療法

 

本の内容

ある日のこと、ベルリンの敏腕弁護士である45歳のシュテルンは、ガールフレンドの看護師カリーナから、郊外の工場跡地に呼び出された。そこに彼女と共に現れたのは、重い脳腫瘍に侵された10歳の少年ジーモンだった。ほがらかでかしこそうな美顔のジーモンは、じつは親のひどい虐待から福祉養護施設に引き取られた孤独な少年なのだった。
そして彼は、自分がその場所で15年前に人を殺した、だから自分の弁護をお願いしたいと話しはじめた。一笑に付すシュテルン、しかし地下室からは、彼の証言どおりに頭を斧で割られた白骨死体が発見されるのだった。
その前世殺人の証言は、死に至る病に苦しむ孤独なジーモンのために、担当看護師であるカリーナが、独断と善意で受けさせた、ある精神科医による前世療法以後始まっていたのだ。
すさんだ精神を華麗な肩書に隠し持つバツイチの中年弁護士、中年男のささくれ立った心を和らげてあげたいと願う女性看護師、疲れて空っぽの大人をいつの間にか癒していくイノセントな少年、三つの心が逃げられないいくつもの渦に巻き込まれ、三つ巴となって天高く舞い急降下する、ほかではちょっと味わえない、ブレインショックな新型エンタテイメント。『治療島』『ラジオ・キラー』に続く、活字の玉手箱です。

 

 最近読書する時に集中力が続かないので、読みやすい本が読みたいなーと、『治療島』『ラジオキラー』と過去作が共々面白く、読みやすい作品だったフィツェック氏の3作目の本作を読むことにしました。

 

 以下感想、多少ネタバレあり、著者のデビュー作『治療島』のネタバレもあります。

 

 10歳の少年が15年前に殺人を犯したと自供し、言われた場所に行くと白骨死体が見つかるという、現実離れしたストーリー、

 また弁護士で主人公のロベルト・シュテルンには10年前、生後間もない息子を乳幼児突然死症候群で亡くしたという辛く、未だに立ち直れない過去があり、

そんな彼に届く謎のDVDには、亡くなった息子と同じように肩に痣がある10歳の少年の映像が。

 彼は誰なのか。息子なのか。息子は死んだはずじゃないのか。前世や生まれ変わりは存在するのか。

現実的に考えればあり得ない、何かトリックがあるのかもしれない、でももしかしたら…。

 

 作者のデビュー作『治療島』、読んでから10年は経ってるので詳細は覚えてないのですが、こちらも現実的ではない出来事が多々起こった末、主人公の見ていた夢や妄想というオチなんですよね。

なので本作も夢オチの可能性も視野に入れながら読みました。

 

 終盤までスリリングでハラハラする展開が続き、飽きずに楽しく読ませてもらいましたが、

最後の種明かしは、なるほどねえと納得は出来るのですが、過去2作ほどの驚きとか感慨深さはないかなーと私は思いました。

  ただジーモンは可愛い。

 

セバスチャン・フィツェック作品の感想はこちら。

nakanohitsuji.hatenablog.com