『オペラ座の怪人』ガストン・ルルー 感想
著者:ガストン・ルルー
訳者:平岡敦
内容紹介
醜いことは罪なのか? 異形の怪人エリックは、愛する歌姫クリスティーヌに秘密の特訓を施して鮮烈なデビューをさせる一方、邪魔者には残忍な手を使うことも厭わない。とうとうクリスティーヌを誘拐し、追っ手を手玉にとったが…幾度も映像化・ミュージカル化されてきた傑作小説の真の「凄さ」を新訳で。
タイトルは誰もが知ってる作品。日本だと劇団四季の公演が特に有名なんでしょうかね。
読むきっかけは、ミュージカルの『ラブ・ネバー・ダイ』に誘われたんですよ。
私はミュージカルとかは年1回観るかどうかくらいの人間なので、とりあえず誘いを了承してから内容を調べてみたら、ミュージカルの『オペラ座の怪人』の続編なんですねこれ。
でも私『オペラ座の怪人』のミュージカルなんて観たことないし、内容も知らないぞ、大丈夫か私?
ということで、今すぐミュージカルの『オペラ座の怪人』を観るのは難しいので、原作小説を読んでみることにしたのです。
複数の翻訳があったので、新しい方が読みやすいんじゃないかと、光文社から出版されてる平岡敦さん訳のを選びました。
以下感想。ネタバレは軽めです。
読み始めの印象は、オペラ座に伝わる怪人の噂から、これはオカルト話なのかなーとか、
あるいは過去に起きたという、歌手クリスティーヌ・ダーエの誘拐、ラウール・ド・シャニー子爵の失踪、兄のフィリップ伯爵の死。語り部がそれらの謎を暴くミステリーなのかなーと。
しかし少し読み進めると、クリスティーヌとラウール、そして怪人の三角関係ラブロマンスかもしれない!
でも終盤になってくると、オペラ座という巨大な施設を舞台にした、アドベンチャーに。
1つの作品の中に、いろんな要素がつまっていて贅沢な作品でした。
細かいところを見ると大雑把と感じる描写もありますが、そんなに気にはならなかったです。ジリーおばさんとかチャーミングで可愛い。
それからこのオペラ座が実在する(そして現存する)施設なので、それが作品にリアリティを肉付けさせてるんだろうなと。まあ私は行ったことないですけれども、実際に行ったり映像でも見たことあれば、ぐっと面白さは増しそうな気がします。
きっと今でもオペラ座の中を巡る、オペラ座の怪人ツアーとかあるんでしょうね。
あとは本当に読みやすかった。文庫本とはいえ570ページもあったので、読む前はちょっと構えてしまってたんですが、スラスラと詰まることなく読めました。
ただミュージカルの予習として原作小説を読んだわけですけど、
ミュージカル版はそれはそれで改変や脚色もされてるでしょうから、比較として『オペラ座の怪人』のミュージカルも観てみたいですねえ。
しかし『ラブ・ネバー・ダイ』観てから『オペラ座の怪人』観るのは順番逆だろこれ(笑)。
ここのところ、昔の本を続けて読んでいて思うのは、知識や経験がないままだと、文章だけで想像するのは難しいなって。いろんな意味での勉強って大事。