『子どもたちのいない世界』フィリップ・クローデル 感想
子どもたちのいない世界
著者:フィリップ・クローデル
訳者:高橋啓
- 作者: フィリップクローデル,Philippe Claudel,高橋啓
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2006/11/21
- メディア: 単行本
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内容紹介
「いずれは大人になる子どもたちのために。そして、かつて子どもたちだった大人たちのために」。最近の子どもたちはお話を鵜呑みにしたりしないが、それでもやっぱり子どもは子ども、かれらなりの苦悩や純真さ、疑問や希望をもっているものである。
ここにあるおかしくて奇妙な20の物語は、この世界についての詩的な、ときには哲学的な窓を、わたしたちに開いてくれる。この本に出てくるのは、ぶきような妖精、悩み掃除人、悪夢の狩人、人々を幸せにするワクチンを発明する女の子、などなど心やさしい登場人物ばかり。作家フィリップ・クローデルは、慎みぶかく心をこめて、いじめや病気、戦争、死、格差といった、ヘビーで扱いにくいテーマだけでなく、大人になるには克服しなければならない、ささやかな恐怖心やコンプレックスにも取り組んでいる。ベストセラー『リンさんの小さな子』の作者が愛娘に語る、とっておきの20話。ピエール・コップのクレヨン画も、いい感じ。
クローデル氏の小説は10年以上前に、『灰色の魂』と『リンさんの小さな子』の2作を読んだことがあり、どちらも面白かったので本作も手に取りました。特に『灰色の魂』は面白かった記憶があるものの、読んだのがかなり前なこともあり内容をあまり覚えてないので、機会があれば読み返したいなあと思ってるんですよね。
以下感想、ネタバレはあらすじを触れる程度に。
大人向けの児童書という印象で、子供に読み聞かせるような調子で、ついつい音読したくなるような楽しい本です。
もし身近に子供がいるなら、一緒に読んでも面白いかもしれません。
また大人と子供の視点では、この本の感想が違ってくるかもしれません。
ただ難しい表現はないものの、漢字にふりがなは振ってないので、それこそ読み聞かせに向いてそう。
収録されてる20の話の中で、私のお気に入りは『妖精はつらいよ』『本のなかに入っていく少年』『でぶのマルセル』ですね。
『妖精はつらいよ』は、女の子の前に妖精が現れる話なんですが、女の子の対応が実にドライでませてて可愛いんですよ。子供って大人のことをよく見てる。
『本のなかに入っていく少年』は大人にはちょっとドキッとする話です。
『でぶのマルセル』は文房具たちを主人公にした話で、マルセルはぶ厚いノートの名前です。
昔のマルセルはほっそりしたノートだったのですが、
コピーなどを貼られていくうちに、今ではぶ厚くなりました。
それで自分の小学生の頃に使っていた筆箱を思い出しまして。
国語の授業で、詩を書くというのがありまして、その題材に使い続けてボロボロになった自分の筆箱を題材にした詩を書いたなって。
- 作者: フィリップクローデル,Philippe Claudel,高橋啓
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2005/09/17
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