週末花探し

東京都を中心に花を見に出かけた記録。土曜日か日曜日の夜に週一更新。たまに読書感想文。

『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子 感想

窓ぎわのトットちゃん

著者:黒柳徹子 

窓ぎわのトットちゃん (講談社青い鳥文庫)

窓ぎわのトットちゃん (講談社青い鳥文庫)

 

内容紹介

「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」小林先生のこの言葉は、トットちゃんの心の中に、大いなる自信をあたえてくれました――。トモエ学園の、子どもたちの心をつかんだユニークな教育の実際と、そこに学ぶ子どもたちのすがたをえがいた感動の名作『窓ぎわのトットちゃん』を子どもたち自身におくります。

とても有名な作品なので、あまり説明することもないのですが、黒柳徹子さんの小学生時代、トモエ学園のお話ですね。

 

以下感想。途中から個人的な先生との思い出話になります。

 

自尊心をもつことの大切さ、子供も一人の人間として扱うことを伝える作品でした。

読んでいて思い出したのが、10年ちょっと前に早朝のテレビ番組で、ノッポさんが自身の幼少期の体験を語りながら、子供のことを「小さい人」と言っていたこと。

きっと伝えたいことは同じかな。

 

トモエ学園の教育について、ひっかかる点がないわけではないのですが、生徒の自主性を伸ばすやり方は素敵だと思いました。

 

・「しっぽ」のはなし 

本作には色んなエピソードが載っていますが、私が一番印象に残ったのが「しっぽ」の話。
女の先生が進化論の話をした時、障害のある高橋君に「しっぽがあるんじゃない?」と冗談を言ったのに対し、
校長の小林先生が怒るのですが、女の先生は、深い意味はなく、ただ高橋君が目に入って、かわいいと思ったからと。

 

小林先生が高橋君を始め、生徒にとても気を配っていること。
女の先生はもしかしたら心のどこかで障害者への蔑視があったかもしれないし、本当にそんなものはなくて、ただ高橋君が目に入ったから、かわいかったから言っただけかもしれない。
そして女の先生の気持ちがどちらにしても、高橋君を傷付けてしまう可能性があったこと。

 

私はしっぽがあるぐらいの冗談は、言える社会の方が良いです。

作中トットちゃんだって、もし先生にしっぽがあると自分が聞かれたら嬉しいって書いてたし、必ずしも人を傷付けるわけでもありません。

でも社会には障害者差別はまだあり、差別が温存された社会では、この程度の冗談も、人を傷付けてしまうかもしれない。

世の中が差別を克服出来て、このくらいの冗談を気軽に言えるようなるといいなって思います。

 

・この本の読み聞かせをしてくれた先生
私が小学校3・4年の時、この本を女性の担任の先生が、朝の時間に少しずつ読み聞かせてくれたんですよね。
ただ残念なことに、時間があまりにも足りなくて、割と最初の方のお弁当を食べる辺りまでしか読んでくれなかったんですよ(笑)。

あれから20年はギリギリ経ってませんが今になって、何故この本を読み聞かせようと思ったのかと、この本の続きはどんな内容なのかと思い、手に取ってみることにしました。

 

私は黒柳さんと違って、小学生時代のことはあんまり覚えてないけど、
この先生との思い出といえば一度、性教育の授業があったんですよ(4年生の時かな?)。
でも真面目な授業の途中、1人の男子生徒がふざける調子で「先生はSEXしたことあるんですか」と聞いたんです。
そしたら先生は特に間を開けることもなく「あるよ」と毅然と応えてらっしゃって、男子生徒だんまり(笑)。
先生、他校に小学生のお子さんが2人くらいいたし、そりゃしてるだろうよ。

 

この授業は教科書を使わず、先生が語り聞かせる、いつもとちょっと違う授業で、先生なりに伝えたいことがあったから行われたものだったと思うのですが、
ただ内容自体は、保健の教科書にも載ってることや、小学生に教えて差支えのないような範囲の話で、個人的には退屈なものだったので覚えてません。
でもこのやり取りだけは、ハッキリ覚えています。

 

他には夏休み明けに手渡しで、手描きの名探偵コナンの絵が描かれた、暑中見舞いの返事の葉書をもらったり、
夏休み中に先生が怪我かなにかで、松葉杖で片足を使わず過ごしたら、両足で足の太さが変わったと話してたことや、

4年生の3学期の終わり、クラスで飼ってたハムスター(マルちゃん)の今後をどうするかで、先生の受け持つクラスに任せると多数決で決めたこととか。
確か当時、私がハムスターの世話係の1人だった何かで覚えてます。
今思えば、先生に押し付けて無責任だったかもと思います。

 

本作は色んなメッセージがこもってるけれど、先生はどんな気持ちで読んでたんだろうなあ。
いつかお会いして、答え合わせをしてみたい。